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圧縮圧力が弱い

compression

圧縮が弱ると出る症状

・アイドリングしなくなる。
・アイドリングが不安定
・白煙をだす。
・高回転時のエンジン不調、出力不足

圧縮を確認しましょう。圧縮を確認するにはコンプレッションゲージを使用する。サービスマニュアルの基準値以内にあること。

ZRX1200Rの場合
910~1400kPa(9.3~14.3kgf/cm2
圧縮は高ければ高いほどエンジン本来の出力が発揮される。下限値ではオーバーホールが必要になります。

スパークプラグの緩み

スパークプラグが緩んでいる場合や、スパークプラグのガスケットが潰れてしまったものを使用すると、圧縮が抜ける。

何度も再使用出来ると思っている方が多いですが、スパークプラグは消耗品です。一度でもガスケットが潰れてしまったら、再使用控えましょう。右は再使用可能ですが、左は再使用不可能なスパークプラグ。

シリンダーヘッドの締め付け不良

シリンダーヘッドのボルトが緩んだ場合、圧縮が漏れますが、見た目の状態として、シリンダーヘッドとシリンダーブロックとの継ぎ目、つまりヘッドガスケットの部分からオイルの滲み(にじみ)等の漏れが発生します。

空冷エンジンの場合は、オイルの漏れ、水冷エンジンの場合は、冷却水の漏れがあります。ボルトの緩みだけでは済まない場合が多いでしょう。

多くの場合、エンジンの熱によるシリンダーヘッドのゆがみが発生し、その為隙間が出来てオイル漏れや冷却水の漏れにつながっています。

バルブクリアランスが基準値より小さい

バイクにより基準値は違いますが、ZRX1200Rの場合では、

インテーク:0.13~0.19mm
エキゾースト:0.18~0.24mm

この基準値を下回るとエンジンが暖まると金属が膨張し常にバルブが押し下げられた状態となるために圧縮が落ちる事になる。基準値はこの範囲の中にあれば正常に作動はしますが、エンジン本来のパワーを得るためには、下限値ぎりぎりで調整が必要。なぜなら、バルブの突出量が変わるとパワーも変わります。

シリンダー、ピストンの摩耗

シリンダー、ピストンの摩耗が原因の場合は,オーバーサイズピストンを入れる必要がでてきます。

ピストンリングの不良

ピストンリングの摩耗、へたり、折損、固着があります。画像はピストンリングが固着したいてピストン。画像の通り大変汚い状態なのがわかります。リング溝にはスラッジが溜まり真っ黒となっています。

これはオイル管理が大変悪かったことを示します。リングの摩耗や固着はオイルによって大きく変わります。オイルは人間で言えば血液に当たります。質の悪いオイルを使ったり、3000kmで交換しようと思っていても、ついつい忘れてしまい、交換時期を大幅に超えることは良くあること。

そんなことが積み重なりエンジンにダメージが蓄積されていきます。気がついた時には画像のような状態になることもあります。特に現代のバイクのピストンリングは旧車とは違い大きな変化をしています。

リングは薄く、柔らかいものになっており、質の悪いオイルを使うとてきめんにリングの摩耗につながります。

ピストンリングとリングの溝の隙間が大きい!

画像は新しいリング(下)と古いリング(上)を重ねての比較。リングは摩耗すると厚みが薄くなります。画像でも微妙に薄くなっているのがわかります。合口も広がっているのもわかります。こうなることで、圧縮された燃焼ガスはこの合口からクランクケース内へと抜けていきます。

リングが薄くなることで、ピストンとリングの隙間が広がりますから、これも圧縮された燃焼ガスが逃げていきます。目安としてブローバイガスが激しくなってきたエンジンはリングの交換が必要になります。

シリンダーガスケットの破損

シリンダーガスケットの破損はあまり起きませんが、シリンダーヘッドが熱でゆがむ事で圧縮抜けを起こしその際に交換が必要となります。

シリンダーヘッドのゆがみ

基本的にエンジン設計は85℃で設計されています。油温がそれ以上になると、思わぬ形に金属は変形を始めます。それがシリンダーヘッドのゆがみになり、圧縮が抜けます。高負荷での運転をしたりすると冷却が追いつかないので「ゆがみ」が発生します。

高負荷での運転をする場合は冷却を考えたエンジンの作成が必要です。

空冷エンジンは走行風を受けてエンジンを冷やしますが、渋滞などに捕まると走行風を受けることが出来ないために、油温は急上昇していきます。これもやはりエンジンの冷却を考えると対策が必要です。

化学合成オイルは一度熱を持つとなかなか冷えにくい特性を持っています。合成オイルを使うならば、オイルクーラーは必須アイテムではないでしょうか?それでも合成オイルは冷えにくい特性です。

バルブスプリングの折損、へたり

金属疲労による折損、へたりがあるのでチェック。

バルブとシート面との当たり面不良

バルブの曲がり、ゆがみ、摩耗、カーボンのかみこみが考えられる。カーボンのかみこみは質の悪いオイルを使い続けると起きやすいので注意しましょう。

バルブとシートの当たり面に段付きなどが発生する場合がある。粗悪なガソリンを使うとインテークバルブの当たり面に段付きなどが発生します。安いガソリンは使用を控えた方が賢明です。

粗悪なエンジンオイルを使うとエキゾーストバルブの当たり面に小さな穴がたくさんできます。そのようなオイルは控える方がいいでしょう。