0W-20をターボエンジンに使うとエンジンが壊れるのか?

turbo

ターボ車に0W-20の低粘度は使えるのか?

結論をいいます 使用はできます 

ただし

0W-20を使う目的が燃費にあり 5W-30、10W-30、5W-40などの指定粘度車に入れるとするならば これは避けた方がいい

なぜなら粘度表示にある番号は油膜の厚みを表しているからです 20番という油膜の厚みです 油膜は20<30<40<50の順に油膜は厚くなっていきます

例えば ヒビの入ったガラス瓶があったとします 水はサラサラですから水を入れると漏れだしてきます ところがドロドロとしたハチミツを入れるとどうなるでしょうか?水のようにポタポタと漏れるのではなく にじむ程度になることでしょう

つまり粘度が高いほど ターボエンジンでは圧縮圧力を保てるオイルということになります

指定粘度以下のオイルを使った場合のリスク

指定粘度よりも低いオイルを使うリスクとは オイル消費が発生する 白煙が発生するリスクがありますがすぐさま壊れることは無いと言えます

これを覚悟すればポルシェなどの指定粘度20W-50のエンジンに0W-20を使う事は可能です

ターボエンジンには冷却能力の高いオイルが必要

ターボ車は大変な熱を発生させます 近年のエンジンは昔と違いエンジンカバーというカバーでご丁寧に隠しています 

こうなるとエンジンの熱はどこにも逃げるところがありません       

昔のエンジンはボンネットを開くと エンジンが丸見えで スカスカでしたよね 

今は見えなくしています 熱がこもってしまいます 近年のエンジンは昔のエンジンよりもオイルに対して大変シビアになっています

タービンにはエンジンオイルが循環しており タービンの軸を冷却しています 

ターボ車はオイル管理をシビアにする必要がある

ターボ車はオイルが黒くなりやすいと思っていませんか?実はターボ車に限らずエンジンオイルは黒くなってしまいます その理由を解説していきましょう

ターボ車には冷却性の高いエンジンオイルが必要です

エンジンオイルに求められる働きは耐熱だと思っていませんか?

油温は人間で言う体温です 100℃を超えるようであれば熱対策を必ずとりましょう エンジンオイルの設計は100℃で設計されています どんなに優秀なオイルでも100℃を超えると たちまち熱で劣化してしまいます

化学合成オイルは熱に強い?

化学合成オイルは熱に強いと思っている人が多いはず しかしこれは誤解を生んでいます 化学合成は熱に強いのではありません 

正確には

1:高温に対して分子が安定
2:せん断に対して強い

高温に対して安定やせん断といってもすぐにわかる人はとても少ないと思います 応用化学の世界ですから

これを簡略化すると熱に強いといいますが 誤解が生まれます

誤解を生んでいる「熱に強い」という表現

誤解が生まれています

先に説明したとおり 適正温度をしっかり管理することが大事なことであって 熱に強いオイルを使えば安心ではなく 冷却できるエンジンオイルを使い 更に油温・水温をしっかり管理することにあります

熱に強いのであれば油温も130℃でも大丈夫と思い込んでしまいます 

ベースオイルは劣化しにくいなぜなら分子が安定しているから

化学合成ベースオイルの寿命は60,000㎞とも言われています
鉱物ベースオイルの寿命は30,000kmとも言われています

このことからも化学合成オイルは分子が安定しせん断に強いと言えます

なのになぜ5,000㎞や10,000kmで交換する必要があるのか?

理由:ベースオイルよりも先に添加剤が劣化し使えなくなるから

ベースオイルは劣化しにくいのです ですから新興国では廃油を回収して遠心分離機にかけてゴミや汚れを分離させ 重油を生成します そこから添加剤を加えてエンジンオイルをつくるのです

製造方法にもよって違いはありますが どのオイルも例外なく添加剤から先に劣化していきます

求められるのは冷却性の高いエンジンオイルは鉱物です

同じ容積に分子が多いほど熱しにくく冷めにくい特性を持ちます 分子が大きいほど 熱しやすく冷めやすい特性をもちます

どちらが冷却性が高いのかを考えると 鉱物オイルなのです

特に空冷エンジンやハイパワーエンジンは冷却が重要な要素です

オイルが黒くなる3つの理由

では、なぜオイルが黒くなるのでしょうか?
以下では、3つの理由を説明します

ブローバイガスの混入

摩耗したエンジンには、ブローバイガス(※)が大量に発生します
それがクランクケース内に入り込み、オイルと混ざって黒くなってしまうのです
逆に摩耗の少ないエンジンはブローバイガスが少ないので、影響を受けにくくなります

※ ブローバイガスとは、下記イラストにある「2」の圧縮が漏れたガスのこと

特にターボ車は燃焼圧力が強いため 燃焼ガスが抜けていくことで黒くなりやすいものです これは例え新車であっても同じです

ターボ車は指定粘度よりも高い粘度を使う事で 燃焼ガスが漏れ出ることを防ぎ エンジンのトルクアップにつながります

②ポリマーの劣化

ポリマーとは粘度を作り上げる添加剤のこと

オイルが黒くなる原因の多くは、このポリマーが劣化したことが原因です
既にお伝えした通り、ポリマーは熱とせん断に大変弱い存在です

ポリマーが劣化することで、オイルは黒くサラサラなオイルへと変化していくことになります。

黒く変化したオイルが燃えると、カーボンデポジット(燃えカス)スラッジ(オイルがヘドロ化したもの)も発生させトラブルの原因となります

カーボンデポジットは、ピストンやシリンダーヘッドに付着します。
これがロータリーには大敵となるのです

ターボ車は熱とせん断に弱いポリマーを使った製法のエンジンオイルはすぐに真っ黒となります

③エンジン内部の汚れを取る力が強い?

エンジンの汚れをとるエンジンオイルは、良いエンジンオイルと言われています 
汚れを取らないオイルよりも取るオイルの方がいいですよね

しかしながら、汚れを取る力が強いと、当然弊害が出てきます
汚れを取るエンジンオイルというのは、通常3年という年月を掛けて取る汚れを2年という短い期間で取るということです

これを一般の方は「即効性がある」「5000㎞も使えば落ちる」と勘違いしている部分があります けれども長い目で見ると、即効性が無いことが多いのです

なぜなら、汚れが「塊」として落ちてしまうことで、オイルの吸い込み口を塞ぎ、エンジンが焼き付いてしまう可能性があるからです

この汚れは人間で例えると、血栓に当たります つまり血栓が血液の流れを邪魔してエンジンが死んでしまうことに繋がります

その様なリスクを背負ってまでオイルメーカーは清浄分散性を強くすることは考えにくい 汚れを取る際は徐々にゆっくりと汚れを分解していく必要があります

近年のエンジンオイルは燃費を求め サラサラで粘りを持たないエンジンオイルになっています サラサラなエンジンオイルは 疲れた旧車・過走行車の摩耗したエンジンの隙間を埋める力が弱く すぐに黒くなるためオイルが長持ちしません

ターボ車はカーボン・スラッジ化に注意

ポリマーはエンジンオイルを黒く劣化させる原因のひとつといいました そのオイル管理を怠ると エンジンの中ではスラッジ化が進み ピストンにはカーボンが付着しはじめます

ピストンに付いたカーボンはガソリンが燃焼して付着するものではなく 黒く劣化したオイルの燃えカスがカーボンとなって付着していきます

カーボン付着・スラッジ化防止をしたいなら

カーボン付着・スラッジ化を防止したいのであれば ノンポリマーと言われるエンジンオイルを使用することにあります

エンジンオイルには2つの製造法がある

エンジンオイルには2つの製造法があります

1:通常製法(一般的な製法)
2:ノンポリマー製法(文字通りポリマーを使わない製法

製造方法には2つの製造方法があるのはご存じでしょうか

オイル交換してもすぐに真っ黒になると感じませんか?それはポリマーが劣化している可能性が高いです

冷却性は鉱物オイルが断然効率が高いのがわかると思います

なぜ化学合成オイルの通常製法が冷却性が落ちるのか?

ここで問題になるのがポリマー(増粘剤)
熱に弱くせん断に弱いという特徴があり ドロドロにしてもすぐにサラサラに戻ってしまいます つまり油膜は薄くなる傾向にあります

通常のエンジンオイルの作り方は1種類のベースオイル(基油)に添加剤を混ぜることで、エンジンオイルという製品になります。


そこで使われるのが、ポリマー(増粘剤)です。 

水の様にサラサラとしたベースオイルにポリマー(増粘剤)を加えることにより、ドロドロにしているわけです

この添加剤が先に劣化していきます

例えば 水に片栗粉を入れるとドロドロになるのと同じ理屈です

通常エンジンオイルは水の様なサラサラなベースオイルにポリマーを混ぜてドロドロにし粘度を作り上げます VHVIは需要が大きい為通常製法だと鉱物よりも安価に生産が可能な場合もあります

ノンポリマー鉱物オイルRICH(リッチ)製法とは

ノンポリマーは文字通りポリマー(増粘剤)を使わない製法です

2種類のベースオイルを贅沢に使い粘度(ドロドロ)にしていきます そのため大変なコストをかけての製造を行う事になります

高い冷却性を実現し熱ダレを防止します

ノンポリマー製法はベースオイルの性能を引き出す製法

例えば 美味しく見せるために 発色剤を使い 保存期間を長くするために保存料を使います これが通常の製法です

添加剤の質によって自由自在にフィーリングに変化することが可能となります

ノンポリマー製法とは食材本来の旨味を引き出す製法

余計な添加剤を使うことなく ベースオイル本来の性能を引き出す製法でエンジンにとって大変優しいオイルが完成します

2種類のベースオイルを贅沢に使う為 製造コストはかなり高いのが特徴ですが通常製法よりもメリットが多い オイルの交換サイクルも大幅に変わります

ノンポリマーのメリット

  1. 熱に対して粘り(ドロドロ加減が)安定するからメカノイズ減少が長続き
  2. 粘性が安定すると隙間を埋める力が強くなるからエンジンの力が強くなる
  3. 旧車・過走行車のピストンとシリンダーとの隙間 ヘッドカバーとの隙間からのオイル漏れ予防
  4. 鉱物オイルだから冷却性が高く熱ダレ防止・タービンの冷却にも有効

ノンポリマー製法についてもっと詳しく>>

化学合成オイルのメリットとデメリットをもっと詳しく>>