B16BとB18C5のカムシャフト比較|リフト量とバルブタイミングの違いによるパフォーマンス解析

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B16BのカムシャフトとB18C5のカムシャフトの主な違いを確認しました。どちらのカムシャフトも高回転性能を重視していますが、いくつかの特徴的な違いがあります。

B16B(Civic Type R)

  • インテークカムリフト: 約11.5mm
  • エキゾーストカムリフト: 約10.5mm
  • バルブタイミング: インテーク側でやや短い持続時間(約243度)

B16Bのカムシャフトは、特に高回転域での効率を最大限に発揮するよう設計されています。8000rpmを超える領域でより強力な吸排気効率を持ち、シビックタイプRのエンジン特性に合致しています。

B18C5(Integra Type R)

  • インテークカムリフト: 約11.5mm
  • エキゾーストカムリフト: 約10.5mm
  • バルブタイミング: インテーク側で若干の差異があり、持続時間が異なります(約240度)

B18C5のカムシャフトは、より広いパワーバンドにわたってトルクを強調するように設計されており、中回転域から高回転域までバランスよくパワーを引き出すことができます。両者のカムリフト値は非常に近いですが、バルブタイミングやトルク特性に微妙な違いがあり、インテグラタイプRではより中低速域からのトルクを意識した設計になっています​

もし詳細なチューニングを行う場合、これらの違いを考慮してどちらのエンジンが適しているかを検討することが重要です。

流用するならB型エンジンは複数のタイプがある

B18C1、B18C2、B18C3、B18C4、およびB16Aエンジンにおけるカムシャフトプロファイルの違いは、それぞれのエンジンが求めるパフォーマンスに応じて設計されていますが、いずれも基本的にはVTECシステムを備えています。以下にそれぞれのエンジンの特徴を示します。

  1. B18C1(Acura Integra GS-Rに搭載):このカムシャフトは高回転性能を重視しつつ、街乗りに適したバランスの取れた設計がされています。リフトと持続時間は、特に中回転域でのパワーバンドを広げるように調整されています。VTECは約4,500RPMで作動します。

    インテークリフト: 11.0mm
    エキゾーストリフト: 10.5mm
    持続時間(インテーク): 266°持続時間(エキゾースト): 256°
  2. B18C2(Integra VTi-Rに搭載):B18C1と似たカムシャフトプロファイルを持っていますが、オーストラリアおよびニュージーランド市場向けに調整が加えられています。カムシャフトは中回転域でのトルクを優先し、日常の運転でのレスポンスを向上させています。

    基本的にB18C1と似たカムシャフト仕様。主な違いは、用途やVTECの作動ポイントにありますが、リフト量に大きな違いはありません
  3. B18C3:アジア市場向けに展開され、B18C1のカウンターパートとなっています。カムシャフトのタイミングに若干の調整があり、地域の規制や運転環境に最適化されています。

    B18C1およびB18C2と同様の仕様。リフトの詳細もB18C1と近いです
  4. B18C4(ヨーロッパ市場のCivic VTiに搭載):B18C1と比較してわずかにデチューンされたカムシャフトを持ち、ヨーロッパの運転規制に合わせて細かい調整が施されています。

    インテークリフト: 11.5mm
    エキゾーストリフト: 10.5mm
  5. B16A:このカムシャフトはB16Bに似ており、高回転域でのパフォーマンスを重視した設計です。短いストロークと高いリフトにより、高回転での限界を高めることが可能です。HondaのType-Rエンジンに典型的な、スポーティで高回転を得意とするスタイルに最適化されています。

    インテークリフト: 10.7-11.0mm
    程度エキゾーストリフト: 9.7-10.0mm程度

これらのエンジンは、それぞれ異なる回転数範囲においてトルクやパワーを最適化するため、カムシャフトのプロファイルが調整されています。例えば、B16AやB16Bは高回転域に焦点を当てた設計ですが、B18C1やB18C2はより広いパワーバンドを持ち、中回転域でのトルクに優れた特性があります​

詳細なリフト量やカムプロファイルの具体的な数値については、サービスマニュアルやアフターマーケットのデータを参照することをお勧めします。

カムリフト量の変化がエンジン性能に与える影響について、専門的な用語をできるだけ簡単に解説します。

まず、カムリフトとは、エンジンのバルブをどれだけ開けるかを決定する重要な要素です。カムシャフトの設計によって、バルブはピストンが吸気や排気を行うために開閉されます。カムリフトが大きくなると、バルブがさらに高く開き、より多くの空気と燃料をシリンダーに取り込むことができます。これにより、エンジンのパフォーマンスが向上します。

次に、カムリフトが1mm増えると、バルブ径が4mm大きくなったのと同じ効果があるという表現についてですが、これはエンジンの空気と燃料の流れに関するものです。具体的には、バルブが開く高さが増えることで、エンジンに入る空気や燃料の量が増え、より効率的に燃焼できるということです。この増加は、実際にバルブの直径を大きくするのと似た効果を持つとされています。

カムリフトの1mmがエンジン性能に与える驚きの効果とは?

  • バルブ径は、エンジンに空気を入れる「入り口」の大きさです。もしこの入り口が大きくなれば、より多くの空気が入ります。
  • カムリフトを増やすと、バルブ自体がより高く開き、同じように空気の流れが良くなります。そのため、カムリフトを1mm増やすことで、エンジンがより多くの空気を取り込めるようになり、バルブの大きさを実際に増やしたかのような効果を生むというわけです。

なぜこれが重要なのか:

エンジンがより多くの空気と燃料を取り込めると、燃焼効率が上がり、馬力が増加します。そのため、カムシャフトやバルブの調整はエンジンチューニングにおいて非常に重要です。しかし、リフト量を増加させると、バルブとピストンのクリアランスに注意しなければならず、最適なセッティングには多くの要素が関連します。

このように、カムリフトの調整は、エンジンのパワーアップに大きな影響を与えますが、同時に他のパーツとのバランスも重要です。

カムシャフトのプロファイル変更や、エンジンチューニングに関する情報を、わかりやすく解説します。

カムシャフトのオーバーラップがマフラーに炎をもたらす仕組み

1. カムシャフトのプロファイルとマフラーからの炎

エンジンでカムプロファイルを変更すると、バルブの開閉タイミングが変わり、特にオーバーラップ(吸気バルブと排気バルブが同時に開いている時間)が増えます。これがマフラーからの炎とどう関係するかを説明します。

  • オーバーラップが大きい場合、燃焼室に新しい混合気(空気と燃料の混合)が吸い込まれる一方で、古い排気ガスが排出されます。しかし、まだ燃えきっていない燃料が排気バルブから排気系に流れ込むことがあります。これは特に高回転時に顕著です。
  • 未燃焼の燃料が排気管内で再び燃焼し、それが排気口(マフラー)から炎として出てくることがあります。これが「マフラーから炎が出る」現象です。特にレーシングカーやチューニングカーでは、オーバーラップが大きいカムを使用することが多いため、このような現象が発生しやすくなります。

2. カムシャフトのリフト量だけがエンジンチューニングではない

カムリフト(バルブをどれだけ高く開けるか)は、エンジンの性能向上において確かに重要ですが、それだけがエンジンチューンのすべてではありません。カムシャフトのリフトを増やすことにより、バルブがより高く開き、多くの空気と燃料を燃焼室に取り込めます。しかし、他の要素も非常に重要です。

例えば:

  • カムシャフトの 持続時間(バルブが開いている時間の長さ)やオーバーラップは、エンジンがどのように空気と燃料を処理するかを大きく左右します。単にリフトを増やすだけでなく、これらの要素もバランスよく調整する必要があります。
  • 点火タイミング燃料の供給量、さらには排気システムの効率など、他のエンジン要素との連携がなければ、カムシャフトを変更しただけでは効果を最大限に発揮できません。

1. カムリフトの増加とパフォーマンスへの影響

  • カムリフトを増加させた具体例
    例えば、あるエンジンチューニング事例では、B18Cエンジンにカムリフトを11.5mmから12.5mmに変更したところ、吸気バルブがより大きく開き、高回転域での吸気効率が約5〜10%向上しました。これにより、8000rpmを超える高回転域での馬力が約5〜7%アップし、特にサーキット走行でのラップタイムが改善されました。
  • 具体的な馬力の変化
    ストック状態のB16Bエンジンが185馬力だったのに対し、カムリフトを増やし吸排気系も調整した結果、210馬力まで向上した事例があります。

2. オーバーラップの調整と炎の発生

カム山の高さだけでなく、丸みの違いがパワーを生み出す

  • オーバーラップの拡大による効果
    B16Bエンジンにおいて、カムシャフトのオーバーラップを純正の10度から15度に増やすと、排気と吸気のバルブが同時に開いている時間が長くなるため、高回転時の吸排気の流れがスムーズになり、高回転域での馬力が約5%増加しました。しかし、同時に未燃焼ガスが排気管に残るため、エンジンが高回転になるとマフラーから炎が発生しやすくなります。この効果は主にレーシングカーなどで顕著に現れます。
  • 具体的な調整事例
    B18Cエンジンでオーバーラップを拡大した結果、VTECが作動する6000rpm以降でのレスポンスが大幅に向上し、加速力が増した一方で、街乗りでは燃費が若干悪化するというトレードオフが発生しました。

3. 特定車両での実績:

  • 事例:シビックタイプR B16Bエンジンのチューニング
    シビックタイプR(B16B)において、カムリフトを11.5mmから12.2mmに変更し、オーバーラップを広げたところ、高回転域でのトルクが7%向上しました。これは主に吸気と排気の流れが最適化された結果で、サーキット走行時にエンジンのレスポンスが向上し、1周のラップタイムが2秒短縮されました。

4. バランスの取れたチューニング

  • エンジン全体でのバランスが重要
    カムリフトやオーバーラップの変更だけではなく、燃料供給量や点火タイミングの調整、排気系の最適化も必要です。例えば、カムリフトを増加させた後、燃料マップを調整しないと、燃料不足によりエンジンパフォーマンスが悪化することがあります。したがって、適切なセッティングが必要です。

各パーツの詳細と構造チューニングガイド

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